第63図 陸奥ノ國の黄金を賀し奉れる歌「一」 大伴ノ家持(4094)
第63図 陸奥ノ國の黄金を賀し奉れる歌「一」 大伴ノ家持(4094)
葦原の 瑞穂の國を 天降り しらしめしける 天皇の 神の命の 御代重ね 天の日嗣と しらし來る 君の御代御代 敷きませる 四方の國には 山河を 廣み淳みと 奉る 御調寳は 數へ得ず 蓋しも兼ねつ 然れども 吾大王の 諸人を 誘ひ給ひ 善き事を 始め給ひて 金かも 楽しけくあらむと 思ほして 下惱ますに 鶏が鳴く 東の國の 陸奥の 小田なる山に 金ありと 奏し賜へれ 御心を 明らめ給ひ 天地の 神相納受ひ 皇御祖の 御霊助けて 遠き代に かかりし事を 朕が御世に 顕してあれば
食國は 榮えむものと 神ながら 思ほし召して もののふの 八十伴の雄を まつろへの むけのまにまに 老人も 女童も 其が願ふ 心足ひに 撫で給ひ 治め給へば 此をしも あやに貴み 嬉しけく 愈思ひて
奈良の大仏ができる前、東北地方で金が掘り出され、帝が喜んだことを、大伴家持は自分のことのようによろこんで作った歌。画は三部作となっているが、この図は大仏開眼の図である。