第44図 親母遣唐使に從ふ子に贈る歌 作者未詳(1790)
第44図 親母遣唐使に從ふ子に贈る歌 作者未詳(1790)
秋萩を 妻問ふ鹿こそ 一子に 子持たりといへ 鹿兒じもの 吾が獨子の 草枕 旅にし行けば 竹珠を 繁に貫き垂り 齋戸に 木綿取り垂でて 齋ひつつ 吾が思ふ吾子 眞幸くありこそ
反歌(1791)
旅人の宿りせむ野に霜降らば吾が子羽ぐくめ天の鶴群
帝の命令で唐へ遣いをする遣唐使。その航路は難破、病難、賊難など困苦は計り知れない。
以下、『万葉集画撰』 武田祐吉の解説より抜粋。
大陸の地は寒気の激しい地と聞いている。(中略)空飛ぶ鶴の群れよ。どうか我が子を羽で包んでやって下さい。